屋根のお話
今回は屋根のお話です。以前屋根の材料についてお話させていただいたことがありますので今回は名称とその形についてです。
屋根の棟(むね)とは
先ずは屋根の形をイメージしていただくために「棟(むね)」というものをご理解いただければと思います。棟とは折り紙に例えれば山折りにした場合の折れたラインの部分です。屋根のてっぺんに位置することが多いです。
代表的な基本形は三つ
住宅における代表的な形は主に次の三つになります。どれもシンプルな構成で雨漏りをおこしづらい形となります。
先ずは「切妻」(きりづま)と呼ばれる形状です。てっぺんの棟から2方向に傾斜して下っていきます。本を開いて伏せたような形です。建物を四方から見た場合、屋根の材料が見える面が二面、壁しか見えない部分が二面となります。
次は「寄棟」(よせむね)です。切妻と並んで非常に多く採用されている形です。屋根を上から見ると四方向に傾斜しています。屋根の角から棟が斜めに上がっていきます。四方向どの方向から見ても屋根の材料が見えます。
そして「片流れ屋根」。この屋根は棟が存在しません。建物の一方向から対面に向けて一方向に傾斜を付けたものです。最もシンプルな構成です。以上が主流となる基本形ですが実際はこれらを複合したものを多く見受けます。全体的には寄棟ですが一か所だけ切妻だったり、片流れと切妻の複合型だったりと様々です。
いろいろな形
数は少なくなりますが基本形以外で「入母屋(いりもや)」という形状があります。こちらは下半分くらいが「寄棟」で上半分が「切妻」となります。伝統的な建築物にはよく見られます。その他円形の屋根もあります。ドーム型で蒲鉾のような形状です。鉄骨やコンクリートの建物によく見られるのは「陸屋根(りくやね・ろくやね)」です。陸という文字は「平らな」という意味があります。ほとんど勾配が無い屋根で、ビルの屋上をイメージしていただければと思います。大規模建築物には基本形から大きく離れた複雑な屋根もいろいろあります。幕張メッセなども面白い形をしています。
覚えている方も多いとは思いますが現在建築中の新国立競技場の前の案の近未来的な屋根も奇抜なものでした。どこまでが屋根でどこからが壁かわからないようなものもあります。
よく見ると街のなかにもおもしろい屋根がいろいろとありそうです。