基礎のお話
今回は建物の基礎に関してですが、主に住宅の基礎についてお話させていただきます。
基礎は住宅にとって大変重要な位置づけとなります。どんなに立派な材料で素晴らしい設備機器を装備した家を建てたとしても、それらを支える基礎に不備があると大きな支障をきたしかねません。更にいえば、その基礎を支える地盤の影響も非常に大きいといえます。
現在では家を建てる前に地盤調査を行うことがあたりまえになりましたが、私がこの世界に入った昭和の時代には住宅建築において地盤調査が行われないことも珍しくありませんでした。周辺の状況や造成状態をもとに数値的な根拠も無く基礎をどのように施工するか判断していました。今では信じられませんが結構曖昧であったように記憶しています。
住宅の基礎は大きく分けて二種類
住宅における基礎の種類としては主に以下の二種類に分けられます。先ずは「布基礎(ぬのきそ)」といってアルファベットのTの地を上下反対にした形でその下半分くらいが地中に埋まります。地上に出た立ち上がり部分に木材や鋼材で構造体を造っていきます。もうひとつは「べた基礎」とよばれるもので、立ち上がり部分は布基礎と同様ですが布基礎は立ち上がり周辺しか水平な鉄筋コンクリートを施工しないのに対して、べた基礎は床下全てに鉄筋コンクリートを水平に施工します。地盤に接する面積が大きくなりますので一般的には建物の安定性が上がります。ただし、べた基礎は布基礎に比べ地盤への荷重が掛かるために、構造計算のやり方によっては、布基礎を採用した方が有利な場合も出てきます。
ベタ基礎が主流
べた基礎は床下が全てコンクリートになりますので、床下からの湿気を低減できたり白蟻の侵入を防止できたりできるという利点もあります。布基礎の場合は床下に土の部分ができますので、その部分に基礎構造としてのコンクリートではなく防湿のためのコンクリートを施工する場合もあります。現在は様々な要因からべた基礎を採用する住宅が大半を占めるようになりました。更に建物荷重に対して地盤が弱い場合、建築においては杭基礎を検討します。しかしながら住宅の場合はビル等で通常施工される杭基礎を選択することは殆どなく、地盤そのものを補強するという地盤補強という考え方が一般的です。地盤補強に関しては別の機会でお話させていただきます。地盤と基礎の関係は大変重要ですので、きちんと地盤調査を行いそのデータに基づき基礎工法を決定することが大切です。