居間、時代とその変化
今回は居間のお話です。居間は一家団らんの場であったり寛ぎの場であったりします。
日本には古くから居間の一種で「茶の間」と呼ばれる部屋があります。茶の間は居間の用途に加え食堂も兼ね主に畳敷きで床に座って過ごす部屋です。大正から昭和初期にかけて家族の中心として一般的に広まったと言われています。サザエさん一家が食事をしている部屋が茶の間にあたるのではないでしょうか。
最近では部屋の呼び方も変わり居間というよりもリビングルーム、食堂というよりダイニングルーム、台所というよりキッチンという呼び方が一般的です。
そして呼び方だけでなく時代の流れとともにリビングルームとその他の部屋の関わり方も変化してきました。茶の間が主流の時代はキッチンだけが離れて独立していて茶の間で食事をしてくつろぐというスタイルでした。その後ダイニングキッチンが登場します。料理を作るのも食べるのもその部屋で済ませ食事が終わったらリビングルームに移ってテレビを観たりしてくつろぎます。次に登場したのはLDK(リビングダイニングキッチン)と呼ばれるリビングルーム・ダイニングルーム・キッチンが一つの空間に納まったもので、現在の主流となっています。キッチンの位置がリビングルームにどんどん近づいてきました。
様々なLDK
一口にLDKと言ってもリビングルームからキッチンがあまり見えない配置になっているものと直接よく見える配置になっているものがあります。前者の場合はリビングルームとキッチンに多少の隔たりができてしまいますが家事の音や臭いがダイレクトにリビングルームに伝わりづらくなります。後者の場合はキッチンで家事をする人とリビングルームにいる人とがコミュニケーションをとりやすくなりますが音や臭いが伝わりやすくなります。最近はよりコミュニケーションをとりやすくなる対面キッチンが主流になってきました。ダイニングテーブルで勉強する子供が増えてきているのもキッチンの配置が関係しているかもしれません。
家族それぞれ
住宅における部屋のとらえかたには誰もが認めるような正解というものが存在しません。今では椅子の生活が主流ですが、畳でゴロゴロしたいということで畳敷のリビングルームを設計したこともあります。これから家を持たれる方は周囲を参考にしつつも家族が本当にくつろげる空間を作っていただければと思います。