ガラスのお話
建築で使われるガラスといえば先ず窓ガラスが思いうかびますが、窓に使われるガラスにもいろいろな種類があります。
先ず一番わかりやすい分類として透明かそうでないかに分かれます。皆様のお宅にもあると思いますが、トイレやお風呂の窓に透明でないガラスが使われています。一般的には「型板ガラス」と言われるものです。型板ガラスとは、ガラスの片面に凸凹(型模様)をつけたガラスで、光は通したいけど、視界は遮りたいという場合に使用されるガラスです。
20年くらい前はほとんどの住宅で透明と型板の2種類しか使われていませんでしたが、現在は多くの種類のガラスが使われるようになりました。その代表格は、広く一般に普及した複層(ペア)ガラスです。住宅の省エネ化が後押しをしたのですが、かなりのスピードで普及しました。
複層ガラス(ペアガラス)の登場
その複層ガラスについてですが、よく「合わせガラス」や「二重サッシ」と混同されますのでその違いを簡単にお話したいと思います。複層ガラスは2枚以上のガラスで構成されるのですが2枚のガラスの間に空間があります。断熱性を重視したガラスです。それに対して合わせガラスは同じように2枚以上のガラスで構成されるのですが複数のガラスを樹脂膜で接着して一体化します。つまり2枚の間に空間はありません。安全性を重視したガラスです。
二重サッシはガラスが二重ということではなく、ガラスが取りついたサッシが二重になります。窓を開けてもさらにその先にもう一枚窓があるといった状態です。断熱性、防音性に優れた構成です。三つの違い、なんとなくイメージできましたでしょうか。
いろいろなガラス
建築用ガラスにはそれ以外に防火ガラス、防災ガラス、防犯ガラス、防音ガラス、強化ガラス、真空ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス・・・等々、高機能なガラスが沢山あります。
さて大分前のことになりますがガラス工芸家の方と一緒に街歩きをしたことがあります。その方が、ある一件の古い住宅の窓ガラスを指さし「あの窓、昔の製法で作られたガラスが付いていますね。」「なぜ分るのですか?」と私。
「斜めから見ると表面にゆらゆらとした水の流れのような模様が見えるでしょ。昔の製法の証ですよ」そのガラスに温かみを感じたのを思い出しました。高性能なガラスではないのですがそれはそれでいいものだなと改めて思います