尺とメートル
「おーい水道屋さん、配管はその柱から1尺(イッシャク)以上逃がしといてね。」
「了解、じゃあ尺5寸(シャクゴスン)離しておきますよ。」
建築業界(特に住宅関連)ではいまだに尺貫法という単位が頻繁に使われています。大工さんが持っているメジャーは尺とメートルの両方の目盛が書かれています。ある年齢層より上の方にとっては馴染みがある単位だと思いますが、最近は特定の業界以外はあまり使わないかもしれません。
1間の押入れは約1.82m間口のこと
1尺(イッシャク)は303.0303mm、その1/10が1寸(イッスン)、その1/10が1分(イチブ)6尺を1間(イッケン)といいます。「1間の押入れ」って聞いたことがある人も多いと思います。1間は1818.1818mmとなりますが便宜上1間は1820mmといわれています。(10年くらい前までは1間を1818mmで図面を書く設計士もいました。)メートル法により1mを基準にしたメーターモヂュールというのもありますが3尺(サンジャク)(910mm)を基準とした910(キュウヒャクトウ)モヂュールが主流です。
輸入されたツーバイフォー工法でも尺を使用
総栄建設は2×4(ツーバイフォー)工法を採用しています。2×4工法は元々北米からやってきた工法なのですが基準となるのは尺貫法の910モヂュールです。海外からやってきた新しい工法なのですから取り入れる際になぜメーターモヂュールにしなかったのか・・・。仮に骨組みをメーターモヂュールで造ったとします。しかしながらその骨組みに取り付けるサッシやドアを始めとしてほとんどの建築材料が910モヂュールでできているのでいたるところで不都合が発生します。
したがって2×4工法も日本の古い単位に合わせざるをえなかったのです。
私が建築業界に入ったのは昭和の時代。当時30年後はもっとメーターモヂュールが普及していると思っていました。徐々に尺とか間という言葉は減っていったとしても910や1820といったモヂュールは暫くなくならないでしょう。計量法という法律で尺貫法は「取引」「証明」に用いてはいけないということが決まっていますが、今日もどこからか「その30ミリのフラットバーは尺5寸ピッチで固定だよ。」といった日本語・英語・メートル法・尺貫法がまじった妙な会話が聞こえてきそうです。